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忙しい人でもできる「セロトニンにやさしい食事」

完璧を目指さない人ほど、メンタルは安定する

「自炊できないと意味がないですよね」
「忙しい日は、正直そこまで考えられません」

セロトニンの話をすると、多くの人が最初にこう感じます。しかし、ここで一度立ち止まって考えてみてください。

セロトニンは、特別な努力や意識の高さではなく「日常の選択が少しだけマシになること」によって、静かに安定していく神経伝達物質です。

今回は、「忙しい人」「余裕のない人」「続かない人」こそ対象にした、
セロトニンにやさしい食事の現実解をお伝えします。


自炊できない人向けの考え方― 食事は「正解」ではなく「脳への材料補給」

自炊ができないことを、必要以上に問題視する必要はありません。
セロトニンの視点で見れば、食事の目的は非常に明確です。

それは、
「脳がセロトニンを作れる材料と条件を渡しているかどうか」
この一点に尽きます。

具体的に必要なのは次の3つです。

  1. セロトニンの材料となるトリプトファン(=タンパク質)

  2. その材料を脳へ運ぶための糖質

  3. 長時間の空腹を避ける食事リズム

それを踏まえた食事内容を考慮すると以下のような食事はどうでしょうか。

  • おにぎり+ゆで卵

  • パン+牛乳

  • 納豆+インスタント味噌汁

これらは「簡単すぎる」と感じるかもしれませんが、
脳のセロトニン合成という観点では、十分に意味のある選択です。

「ちゃんとした食事」を目指すより、「必要な条件を外さない」
この考え方に切り替えることが、忙しい人には何より重要です。


コンビニ・外食の選び方― 迷わない人ほど、消耗しない

忙しい人が食事で疲れてしまう最大の理由は、「選択肢が多すぎること」です。
その結果、「もういいや」と極端な選択に流れやすくなります。

そこで必要なのは、考えなくても使える判断軸です。

コンビニでの基本ルール

① 主食+タンパク質を必ずセットにする

セロトニン合成には、

  • 材料(トリプトファン)

  • 運搬役(糖質)

が同時に必要です。

野菜は余裕があるときで構いません。最初に守るべきは「主食を怖がらないこと」です。

② 甘い物を食事代わりにしない

菓子パンやスイーツだけで済ませると、血糖値が急上昇・急降下し、その後に不安感やイライラが出やすくなります。
甘い物は「悪」ではありませんが、位置づけを間違えるとセロトニンにとってはリズムを壊す要因にもなり得ます。


外食での考え方

外食では、次の2点だけ覚えておけば十分です。

  • 単品より定食

  • 極端なメニューを避ける

ラーメンだけ、肉だけ、サラダだけ。
こうした極端な食事は、セロトニンに必要な条件が抜け落ちやすくなります。

定食は結果的に、
タンパク質+糖質+副菜
がそろいやすく、セロトニンにとっては非常に安定した構成です。


3日坊主を前提にした組み立て方ー続かない前提で設計する

セロトニン習慣を定着させる最大のコツは、
人は続かない、という事実を前提にすることです。

ステップ1:守るルールは1つだけ

  • 朝、何か口にする

  • 昼、糖質を極端に抜かない

  • 夜、寝る直前に食べすぎない

この中から1つだけ選びます。
複数選ぶと、必ず破綻します。


ステップ2:できない日を予定に入れる

忙しい日、疲れた日、付き合いのある日。
できない日は必ず来ます。

その日は、
「今日はそういう日」
と決めて、修正しようとしないことが重要です。


ステップ3:戻る場所を決めておく

3日坊主になったあと、
「どこに戻るか」
を決めておくことが、継続の鍵です。

例:

  • 次の日の朝は何か食べる

  • 次の昼は主食を入れる

戻り先が決まっていれば、崩れても終わりません。


忙しい人ほど、食事は「自分を守る仕組み」

忙しい毎日を、意志や根性だけで乗り切る必要はありません。
セロトニンにやさしい食事は、
頑張るための努力ではなく、壊れないための仕組みです。

  • 自炊できなくてもいい

  • 毎日守らなくていい

  • 3日坊主でいい

それでも、
「前より気分が安定している」
「イライラが長引かなくなった」

そんな変化は、確実に積み重なっていきます。

まとめ|忙しい人ほど「食事を頑張らない」ほうがうまくいく

今回の記事では、忙しい人でも無理なく続けられる「セロトニンにやさしい食事」の考え方をお伝えしました。重要なポイントを整理すると、次の通りです。

まず、セロトニンを整えるために自炊や完璧な食事は必要ありません。
セロトニンを整える視点で大切なのは、「きちんとした料理」ではなく、脳がセロトニンを作れる材料と条件がそろっているかどうかです。コンビニや外食でも十分に意味があります。

完璧を目指すよりも適切なルールを設定することが大切です。

  • 守るルールは1つだけ

  • できない日があることを前提にする

  • 崩れても戻れる“戻り先”を決めておく

といった「続かない前提での設計」が、結果的にセロトニンを安定させる近道になります。

セロトニンにやさしい食事とは、
頑張るための努力ではなく、消耗しすぎないための仕組みです。

それでも、食事の選び方が少し変わるだけで、
「前より気分が安定している」
「イライラが長引かなくなった」
そんな変化は、確実に積み重なっていきます。

次回は、
第6回:間食・おやつは敵じゃない?セロトニン視点で考える間食の選び方
として、「甘い物との上手な付き合い方」を解説していきます。

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