朝、出社して部下の進捗を確認する。
「昨日お願いした件、どうなっていますか?」
確認すると、まだ途中だったり、依頼した内容とは少し違う方向に進んでいたりする。
そこで改めて説明する。
昼になって別の仕事の状況も確認する。夕方になっても報告がないため、もう一度声をかける。提出された資料を見ると修正が必要で、結局、自分で直した方が早いと感じて一部を巻き取る。
こうした場面は、管理職であれば一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
もちろん、部下の仕事を確認し、必要なサポートをすることは管理職の役割です。
ただ、問題になるのは、特定の社員に対して同じようなフォローが何度も繰り返されている場合です。
気づけば、毎日のように確認している
最初はそれほど大きな負担には感じません。
「この案件どうなっていますか?」
数分の確認です。
少し説明が足りなかったので、もう一度説明する。資料に修正が必要なのでコメントを入れる。報告がないので声をかける。
一つひとつを見れば、10分や15分程度の仕事かもしれません。
ところが、それが毎日続きます。
さらに、進捗確認だけではありません。
本人との個別面談、追加の説明、提出物の修正、仕事の組み直し、他のメンバーへの調整、人事への相談などが重なっていきます。
いつの間にか、
「この人の仕事が止まらないようにすること」
に、管理職自身がかなりの時間を使っていることがあります。
それでも仕事は回っている
この問題が見えにくい理由があります。
それは、管理職がフォローすることで、最終的には仕事が終わっているからです。
報告がなければ確認する。
遅れていれば声をかける。
優先順位がおかしければ修正する。
資料が不十分なら直す。
期限に間に合わなければ仕事を巻き取る。
管理職が対応すれば、会社として大きな問題になる前に仕事は進みます。
そのため、表面的には、
「少し手がかかるけれど、何とかなっている」
という状態になります。
しかし、実際には、本人の仕事を成立させるために管理職の時間が使われ続けているとも考えられます。
「部下をフォローするのは管理職の仕事」ではあるけれど
ここで誤解したくないのは、部下へのフォローそのものが悪いわけではないということです。
新しい仕事を任せれば、最初は丁寧な説明が必要です。
経験の浅い社員には、進捗確認やフィードバックも必要でしょう。
失敗を通じて学ぶためには、上司の支援も欠かせません。
本来であれば、そうした経験を重ねることで、少しずつ本人が自分で判断できる範囲が広がっていきます。
最初は毎日確認していた仕事が、週に一度の確認で済むようになる。
上司から声をかけなくても、本人から必要なタイミングで相談が来るようになる。
細かく説明しなくても、求められている成果物を理解できるようになる。
つまり、本人の成長に伴って、同じ仕事に必要なフォローは徐々に減っていくことが自然です。
ところが、一部のケースではそうなりません。
半年経っても毎日進捗を確認している。
何度伝えても報告のタイミングが変わらない。
同じ種類の修正を繰り返している。
その結果、管理職側の確認方法だけが、どんどん細かくなっていきます。
「手がかかる人」で終わらせてしまうと分からなくなる
こうした状態が続くと、
「この人は手がかかる」
「主体性がない」
「もう少し自分で考えてほしい」
と感じることがあります。
その感覚自体は自然なものです。
ただ、「手がかかる」という言葉だけでは、実際に何が起きているのかは分かりません。
例えば同じ社員に対してでも、管理職が時間を使っている場面は違います。
ある人には、何度も進捗を確認しているかもしれません。
別の人には、提出された仕事を毎回修正しているかもしれません。
また別の人には、問題が大きくなってから相談されるため、後から対応に時間を取られているかもしれません。
表面的にはすべて「フォローが必要な社員」ですが、起きている問題は同じではありません。
だからこそ、最初から
「本人の能力が低い」
「コミュニケーション能力がない」
と考えるよりも、
管理職が、具体的に何に時間を使っているのか
を見てみることが重要です。
管理職の時間は、少しずつ削られていく
管理職の仕事には、部下の進捗確認以外にも多くの役割があります。
チーム全体の方向性を考えること。重要な判断をすること。他部署と調整すること。メンバーを育てること。そして、新しい仕事をつくること。
ところが、特定の社員への確認や修正が積み重なると、こうした仕事に使う時間が少しずつ失われていきます。
しかも、この時間は「特定社員対応」という形で記録されていないことがほとんどです。
5分の確認。
15分の説明。
20分の修正。
30分の面談。
一つひとつは小さい。
だからこそ、組織として気づきにくいのです。
最初にやるべきことは、「なぜ」より「何が起きているか」を見ること
もし特定の社員について、
「いつも確認している気がする」
「同じことを何度も言っている」
「結局、自分が仕事を巻き取っている」
と感じるのであれば、まず本人を評価する前に、管理職自身がどのようなフォローをしているのかを一度整理してみるとよいかもしれません。
進捗確認なのか。
追加の説明なのか。
報告の催促なのか。
提出物の修正なのか。
仕事の巻き取りなのか。
そこを具体的にすると、「手がかかる」という漠然とした問題が、少しずつ見えるようになります。
そして次に考えるべきなのが、
なぜ、同じフォローが何度も必要になっているのか
ということです。
この「なぜ」を丁寧に見ていくと、単に本人へ「もっとしっかりしてください」と伝えるだけでは改善しない理由が見えてくることがあります。
次回は、その代表的な例として、
「報告が遅い社員」に報告を早くするよう伝えても、なぜ改善しないのか
を考えていきます。
Work Performance|JIN MEDOC
JIN MEDOCでは、職場で起きるパフォーマンスの問題を、表面的な評価だけでなく、実際の仕事の中で何が起きているのかという視点から考えていきます。